Kobe Shitamachi No Hanaya 忍者ブログ
戦後間もない昭和23年創業、よそ行きの花、特別な時の花ではなく、お家で日常的に楽しんでいただける花、毎日神棚や仏壇にお供えする花を得意としております。 種類は多くありませんが、新鮮で長持ち、しかも納得価格です。 三代目とその妻の、花絡みのボヤキをどうぞ…
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二代目(三代目の母)は、人生のたそがれ時を走り抜け、夜明けと共に天へ駆け上っていきました。

真夜中、私は何となく眠れずにシルバー細工の最後の仕上げに時間を掛けていました。
ようやく「これ以上無理!」なところまでたどり着き、ささやかな達成感に浸りながら風呂に浸かろうとすると、ケータイがけたたましく鳴り響きました。
「心拍数が下がってます。すぐ来てください!」
三代目を叩き起こし、二人で未明の大通りを全力疾走し病室に転がり込むと、モニターは「0(ゼロ)」。
「なんで待たれへんねーん!」←全力のツッコミ
電話を受けてからわずか十数分後のことでした。

…とにかく、ツッコミ所満載の二代目でした。
特に認知症が進んでくると、二代目ボケる、私つっこむ、看護師さん爆笑というパターンが定着しつつありましたが、最期のツッコミの後は、私「せっかちなんやからー」、看護師さん「ご飯食べるのも速かったからねー」というしみじみとしたオチでした。

二代目の認知症は、5年ぐらい前から始まっていたように思います。
まず、暑い寒いの感覚が鈍くなり、真冬に冷房を入れていたりするので、「冷房ですやん」とつっこむと「ぬくいように思ったけどなぁ」
リモコンを見ると27℃!(真夏に設定したままになっていた!)
もしかして正しいのか?と一瞬たじろぐけどやっぱり「ちがーう!」
それから次第に笑えないことを多々やらかすようになり、認知症キターと確信するも、糖尿病関連でいろいろな薬を飲んでいた二代目をこれ以上薬漬けにしたくないし、認知症予防と言われることの真逆を堂々と実践し生活習慣を改める気無しの人に薬を与えるのは、医療費による財政の圧迫に繋がりかねない愚行であると考え、敢えて診断は受けずに投薬を回避し、心理作戦で穏やかに余生を送ってもらうことにしたのです。

もはや国家的大問題の認知症、二代目の場合。

1年半前には既に歩けなくなっていたので徘徊の心配はないものの、たいそうな暴れん坊モード期がありました。
とにかく食事のスピードが超高速で、結果、誤嚥性肺炎で入退院を繰り返し、とろみのついた物しか食べられなくなったのに、みかん持ってこいとかパン食べたいとか。
無理だと言うと、「も・っ・て・き・て~!!!」「持ってこんかったら、家入れたれへんぞ!」
おいおい、ここは病室やて…
もう毎度の大暴れにゲンナリでしたが、そんな時は「今度持ってくるねー」と言えば、納得して静まってくれるということがわかってきました。

他にも、口内細菌の繁殖による誤嚥性肺炎のリスクを減らすため、寝る時は入れ歯を外してほしいのに、それは「嫌」だと。
案の定、常に喉をゴロゴロゴロゴロ言わせている。(後にCTスキャンの画像から小さな肺炎を何度も起こしていたことが判明。)
初めのうちは、健康のためとなだめたりすかしたり叱ったり脅したりしましたが、よくよく考えれば、やる気もなくなり足も立たなくなりすっかり不健康番長になってしまった二代目に今更健康の大切さを説いて怒らせるより、何でもいいからご機嫌麗しくいてもらう方がお互いにとって幸せなのだと悟り、嫌がることは無理強いしないと決めました。

また記憶力は1分間なので、「今度何時に来るんですか」(何故か敬語な二代目)「6時にご飯持ってきてくれますよ」(私)「うん」(二代目)…1分後、「今度何時に来るんですか」「6時にご飯持ってきてくれますよ」「うん」…1分後、「今度何時に来るんですか」「6時にご飯持ってきてくれますよ」「うん」…無限ループ(´・ω・`)
別バージョンでは、「今度何時に来るんですか」「誰がですか」「あんたが」「私はもう来てますよ」「…(照れ笑い)」
つまり、自分でもおかしなことを言っているという自覚があるのです。
そして、この「何時」とは私が来る時間(もしかしたら日にち)なのかご飯が来る時間なのか、一体何が知りたいのかも混乱しているようです。
ここでは、とにかく忘れる病気なのだと割り切り、何度も同じことを聞かれても決してキレずに笑顔で答える。
答えを覚えてもらおうなどとは考えない。
それに、なんか変だと自覚している人にその点を指摘しても、落ち込むか暴れるかでいいことはありません。
勉強しようと思っている時に勉強しろと言われるとやる気が失せるのと同じかな?
認知症でよく見られる鬱状態や暴力暴言の元はこのあたりにあるのかもしれません。

以上、膨大なエピソードのほんの一部ですが、こんな風に試行錯誤しながらどうにかこうにか二代目@認知症と平和裏に付き合い、日々順を追って「その時」に近付いていく姿を、三代目と共に見つめていたのです。

「たそがれ」は「誰そ彼(たそかれ)」つまり「誰だあれは」という意味です。
日が暮れて薄暗くなり、人の顔がわからなくなるという…
「その時」の2日前、二代目が私を見て言った最後の言葉は「あ、◯◯(私)か」でした。
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「樋口生花店」

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